創立10周年記念活動報告書出版にあたって
平成13年(2001年)4月に工学院大学に着任し研究室を創立してから丸9年が過ぎ,今年は10周年を迎えることになりました。この間,約130人の卒業生が巣立っていきました。2007年に7周年記念として活動報告書を出版してから早や3年が経過し,研究室活動も八王子に統合された第2期としての充実を迎えていると言えましょう。今回も10周年記念として開催される同窓会に合わせて研究活動報告書第二巻を出版することになりました。 研究室の創立期,実験装置もPCも満足に無い状況から,卒研生17名と実験の立ち上げに取り組んだ時代を振り返れば,色々な意味で環境が整い恵まれた今日を迎えています。本年度は院生12名,学部生14名と大所帯ですが,基本的な運営方針は変わらずに今日に至っています。今回も阿相英孝准教授の音頭で研究室メンバーの力を合わせてこの報告書をまとめました。報告書の中身は研究室メンバーの足跡であり,全員の日々の生活と各自の挑戦・奮闘から結実した成果でもあります。第一巻と比べ大きく拡大したのは受賞・表彰欄です。阿相氏の「電気化学会進歩賞」受賞をはじめとして,3年間で23件になりました。メンバーの健闘を心から祝福したいと思います。私もお陰さまで,本年2月に表面技術協会から「協会賞」を頂戴する栄誉に恵まれました。これらの受賞は,当人のみならず研究室全体に対して授与されたものと考えております。 国際交流では,ドイツ・エアランゲン大学Patrik Schmuki教授の当研究室への訪問10回目に当たる講演会を始め,Schmuki研究室博士課程生Robert Hahn氏の本学への短期留学,同大学およびスイス国立研究所(EMPA)への当研究室からの修士課程学生の短期留学が,研究室に充実した成果と活気を生み出してくれました。Schmuki先生とフランス・リール大学Rabah Boukherroub先生との討論会後の懇親会では,議論を準備した学生以外の,学部生を含む学生達が次々に,自分の研究テーマについて黒板や紙,身振り手振りも使って先生方への説明に挑みました。学生達のこのような行動力にはいつも感動を覚えます。今回の報告書では,寄稿された卒業生の声も掲載しました。第一巻を閲覧頂いた先生から,第二巻では是非卒業生の社会での活躍の様子を載せるようにとのご要望があったためです。いずれの寄稿も率直で読み応えのある内容です。 最後になりましたが,研究室の今日があるのは,我々を暖かく支援し見守ってくださる多くの方々 のお陰と,この節目の機会に深く感謝の意を表したいと存じます。 |
ふたたび,紫陽花の美しい季節に |
平成22年(2010年)6月 工学院大学 応用化学科 教授 小野 幸子 |